近視抑制治療について
近年全世界で子供たちの近視が急速に増え、社会問題となっております。
原因としてはコロナの影響もあり、子供たちが外で遊ぶ機会が減り、スマホ・iPadなどの使用時間の増加が影響していると言われています。
世界的にさまざまな近視の進行予防方法が検討されているなかで、日本における近視の進行抑制を謳う治療法には、明確なエビデンスやコンセンサスが得られていない治療法が多くあります。
近視進行予防治療やサプリなどが販売されておりますが、現時点で有効性と安全性が十分なデータによって示されている治療法は限られています。目の運動やストレッチにより近視の進行を抑制できるというエビデンスはありません。
以下に有効性・安全性が示されている治療についてご説明します。
マイオピン(低濃度アトロピン点眼薬)について
世界的に最も広く行われている治療です。 アトロピン点眼は、毛様体筋の調節を麻痺させて、瞳を大きく広げる効果がある目薬で、小児の斜視や弱視の診断や治療に頻繁に使われているものです。
1日1回夜寝る前に点眼するだけでよく、手間もそれほどかかりません。しかし人によって効果が異なり、あまり反応しない子どももいます。また近視進行の本態である眼軸長の伸展抑制効果に関しては、屈折値ほどの十分な抑制効果が示されておりません。
現在、日本や海外で更なる研究が進められており、低濃度点眼の中でも、より濃度の高い0.025%や0.05%点眼の有効性や安全性も検討されております。
これらの使用方法が明確になれば、一般の診療でも用いられる可能性があります。近視の進行を抑制することができます。
主に対象となるお子様
- 軽度または中等度の近視の方
- 4歳〜12歳のお子様
費用
初回 | 9,000円 (点眼1本4,000円+診察料5,000円) |
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2回目以降 | 点眼3本12,000円(診察料なし) |
多焦点ソフトコンタクトレンズについて
多焦点ソフトコンタクトレンズは、一般的に遠用の球面度数に近用の加入度数が付加された老視矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして知られております。
また、使い捨てコンタクトに代表されるように、衛生面での管理が比較的容易なことから、国によっては、子どもの近視進行抑制のために使用される頻度は、低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーを凌いでおります。
しかし日中に装用するため、ゴミが入った時などに、自分で取り外すといった自己管理が可能な年齢になるまでは、使用できないため、比較的年齢が高い小児が対象となります。